メールのイメージ画像
お問い合わせ
はてなのイメージ画像
よくあるご質問
メールのイメージ画像
お問い合わせ
電話のイメージ画像
電話する

調味料OEMマガジン

お客様インタビュー

2024.10.11

おいしくて身体にいい食品を届けたい。その「想い」を結実させる。添加物不使用ラーメンスープのOEM開発秘話

おいしくて身体にいい食品を届けたい。その「想い」を結実させる。添加物不使用ラーメンスープのOEM開発秘話

農薬ゼロのだいしん農園様は、『美味しい嬉しい楽しい』を追求するため、化学農薬、化学肥料、家畜肥料、除草剤すべて不使用で農作物を栽培しているオーガニック農園です。代表の楠田 大伸様は農薬による身体の不調に悩んだことをきっかけに、無農薬いちごの栽培を開始しました。

その後、無農薬の農作物に関心を持った黒田様が加わり、農園経営に四苦八苦する過程で、玄米米粉麺「頂氣麺(いただきめん)」の開発を成功させます。さらに添加物不使用のラーメンスープづくりに挑むため、門井商店にOEM開発をご依頼いただきました。

今回は、同社の「頂氣麺(いただきめん)」と添加物不使用のラーメンスープの開発に携わった代表補佐の黒田智子氏にインタビュー。無農薬いちご栽培から玄米米粉麵とスープづくりに切り替えた背景や、スープ完成までの道のり、門井商店とのOEM秘話についてお話いただきました。

取材先企業

企業名:農薬ゼロのだいしん農園
取材にご協力いただいた方:代表補佐 黒田智子様

開発商品の概要

ラーメンスープ
  • ジャンル:ラーメンスープ
  • ロット:1食38g 約2,200食
  • 容器:小袋
  • 開発期間:約2カ月

商品開発前の課題

  • 無農薬いちごだけでは事業継続が難しかった
  • 玄米米粉麺 「頂氣麺(いただきめん)」を開発し手ごたえを得るも、麺だけで売るにはハードルが高いと感じていた
  • 添加物なし、酵母エキス使用なし、たん白加水分解物なし、なおかつ原材料支給という、厳しい条件をクリアできる委託先が見つからなかった

商品開発後の成果

  • 厳しい条件をクリアしつつ、想定以上においしいスープが開発できた
  • 大手の自然食品スーパーへの販路を開拓できた
  • 2023年末ごろから販売し、すでに1万食以上を販売
  • シンガポールなど海外からも問い合わせがある

オーガニック農作物の自給率を高めたい。美味しさと安心を届ける無農薬栽培

オーガニック農作物の自給率を高めたい。美味しさと安心を届ける無農薬栽培

――農園の成り立ちや特徴を教えていただけますか?

黒田様:
農薬ゼロのだいしん農園は、無農薬のいちご、米、野菜などの農作物と、小麦粉不使用で自然栽培の上級玄米を使用した「頂氣麺(いただきめん)」の販売事業を展開しています。当農園は代表を務める楠田大伸氏の両親が始めたもので、代表の母が脳梗塞で倒れたのをきっかけに大伸氏は会社員を辞めて農園事業に加わりました。

しかし、大伸氏は父のもとで修行をしている際に、農薬の影響で体調不良になることがあったそうです。その頃から無農薬を意識するようになり、父が亡くなったタイミングで無農薬栽培に切り替えました。

――黒田様はどのような経緯で、この農園に参加されたのですか?

黒田様:
大伸氏が農園を引き継いだ頃、彼が住んでいる町内のビーチバレー仲間たちが、よく農園を手伝っていました。私もビーチバレー仲間の一人として、会社が休みの日に農園を手伝ったのがきっかけです。

実は、私は30代のときに病気を患い、食べ物や健康について考える時期がありました。自身の経験から、自分が口にしたもので身体が作られていることを実感するようになり、オーガニック農作物に関心を持ち始めました。

オーガニック農作物は、届けるお客さまの健康はもちろんのこと、作り手の自分たちの健康も大切にする取り組みです。大伸氏の想いに共感したことや、自分自身の経験から、残りの人生を「食」にかけてみようと決意しました。また、先進国の中でもオーガニック農作物の流通が遅れている日本で、オーガニック農作物の自給率を1%でもアップさせることも、目標の一つに掲げて事業に参加しました。

無農薬いちご栽培からラーメンスープ開発へ。苦悩を糧に新たな挑戦を開始

――無農薬いちごの栽培からラーメンスープの開発に事業をピボットさせたのは何故でしょうか?

黒田様:
美味しいもの、健康にいいものを届けるために、化学農薬や化学肥料、家畜肥料や除草剤などを使わずにいちごを栽培することは、予想以上に大変なことでした。どれだけ手塩にかけて育てても、いちごが全滅してしまう年もあり、経済的に困窮した時期もありました。

農園に参加してから5年程は、とにかくいちご栽培にこだわっていましたが、ふとした瞬間に”お米”は安定的に量産できていることに気付いたんです。また、当時はグルテンフリーやオーガニックが世間で注目されるようになり、小麦離れの風潮はビジネスの追い風になるのではと考えました。そこで考案した製品が「頂氣麺(いただきめん)」でした。

「頂氣麺(いただきめん)」は、小麦粉を使わず、上級米粉のみで作られたオリジナルの玄米米粉麺です。グルテンフリーで罪悪感なく思いっきり”すすれる”上に、玄米の栄養がたっぷり。これは良い製品だと確信が持てたものの、麺単体で販売するのは難しかったのも事実です。話し合いを重ねた結果、「頂氣麺(いただきめん)」にあわせて食べられる、添加物不使用で美味しいグルテンフリーのラーメンスープづくりに挑戦することになりました。

――どのような経緯で門井商店に出会いましたか?

黒田様:
添加物不使用で、味も美味しいラーメンスープを開発するのは至難の業でした。はじめは市場調査の目的で、複数のラーメンスープを取り寄せて試食を重ねて、原材料表示を見ながらスープ開発を依頼できそうな業者を探しました。最近の製品は原材料が細かく表示されているのでリサーチする上では助かりましたが、添加物不使用などの厳しい条件をクリアできそうな業者はほとんどありませんでしたね。

取り寄せた製品を調べる中で門井商店の存在を知り、ここなら理想のラーメンスープを開発できる可能性があると感じて問い合わせをしました。

添加物は一切なし・味も妥協しないスタンスを貫く

――ラーメンスープをOEMされる際、難しかった点や苦労したことを教えていただけますか。

黒田様:
正直なところ、門井商店さんにはかなり難題を伝えてしまったと思います。最初のオーダー時に私たちから依頼した条件は、「化学調味料などの添加物不使用はもちろんのこと、酵母エキスやたん白加水分解物不使用。塩は持ち込みで『神宝塩』という製品を指定」というもの。しかも、単純に条件をクリアするだけでなく、味も一切妥協をしないスタンスでした。添加物不使用でもおいしくなければ、お客さまの購入につながらないと考えていたためです。これだけ厳しい条件を飲んでくれるのは、門井商店さん以外にいないと思います。

開発プロセスでは、化学調味料を使わないだけでなく工法にもこだわり、求める味を再現するために何度も門井商店さんとやりとりをしました。例えば、スープのごましょうゆ味を決めるごま油は「圧搾」という抽出方法を選択。一般的には「溶剤」を使用する抽出手法を選べば容易に成分を抽出できますが、あえて手間がかかる「圧搾」を選びました。一つひとつの開発プロセスにこだわったことで、手間もかかる上に味が安定しにくい難しさもありましたが、美味しさを追求するために必要なことでした。

――「圧搾」以外にこだわった製法について教えていただけますか。

黒田様:
大手自然食品スーパーでの販売条件をクリアするために、エキス不使用にしなければならなかったため、出汁は「熱水抽出」という手法を取り入れました。熱水抽出は、原料を大鍋で加熱して出汁を抽出する方法で、原料の鰹の個体差が影響しやすく、味の安定が難しいです。アミノ酸などの添加物を使えば、容易に味を決められるメリットもありますが、酵母エキスや添加物を使わずに味を完成させることに徹底的にこだわりました。

これらの厳しい条件のなかで味を構築することは難しかったですが、門井商店さんは最後まで伴走してくださいました。私たちの想いに最後まで答え続けてくれた門井商店さんには、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

約半年で1万食突破、リピーター続出で海外からの問い合わせも

――ラーメンスープの反響はいかがでしたか。

黒田様:
添加物不使用で味にこだわった結果、想像をはるかに上回る美味しさのラーメンスープが完成しました。大変嬉しいことに、2023年12月販売後、約半年で1万食以上の販売実績となっています。この成果を見て、添加物不使用で安心して罪悪感なく食べられるラーメンスープは、まだまだ流通が少ないということを改めて実感しました。

現在では、ありがたいことにリピーターになっていただくお客さまも多くいらっしゃいますし、大手自然食品スーパーでの販売も無事に決定しました。罪悪感なくすすれる麺、最後まで飲み干せるスープをもっともっと広めていきたいと思います。また、最近では「頂氣麺(いただきめん)」に興味をもっていただく方が海外にも広がり、シンガポールから問い合わせも入っていて驚いています。

添加物不使用・支給原料の指定・味の完成度すべてに満足

――門井商店の取り組みに対する感想をお聞かせください。

黒田様:
私たちの細かい要望を汲み取り、味を再現してくださった門井商店さんには大変感謝しています。化学調味料や酵母エキス不使用をはじめ、「神宝塩」という天然塩の指定でOEM開発をするのは、門井商店さん以外では実現できなかったと思います。

担当の森重さんは、親身になってオーダーに耳を傾けてくださり、常に私たちの意図を汲み取るよう努力してくださいました。その結果、おいしいスープが完成して多くのお客さまに喜んでいただけています。本当にありがとうございました。

アレルギーで食に不安を抱える子どもたちのために「想い」を乗せた商品開発を続けたい

――ラーメンスープの開発を機に取り組んでいきたいことはありますか?

黒田様:
過去に無農薬のいちご栽培で失敗を経験し、「想い」が強いだけでは事業継続が難しいことを肌で感じていました。しかし「頂氣麺(いただきめん)」の成功により、ようやく経営基盤も安定してきたため、改めて他の農作物づくりにもチャレンジしていきたいです。

しかしながら、妥協せず開発したことで、どうしても原価が高くなり利益面では課題が残っています。今後も自分たちの「想い」を追求しながら、安心と美味しさを届けるために、商品開発を継続していきたいです。

また、アレルギーなどで食に不安や不満を抱えている子どもたちは少なくありません。そういった人たちのためにも前向きにチャレンジを続け、いつか「頂氣麺(いただきめん)」を学校給食に食育として導入いただける日を目指して邁進していきたいです。

通常添加物不使用となると、使用できる原料が少なくなり、味・価格ともにハードルが高くなります。そのような中で、農薬ゼロのだいしん農園様を一緒に、強い熱意で開発をさせていただいたことで、このような良い商品を作ることができたと感じております。
これからも、お客様に喜んでいただけるように努めてまいります。

まとめ(編集後記)

農薬で体調に異変を感じたことや、病気を患った経験などをきっかけにスタートした無農薬栽培。安心で美味しいものを届けるために、経済的に苦しくても決して諦めず、「想い」を貫いた姿勢には脱帽した。信念やこだわりを持って妥協を許さないスタンスは、OEM開発を受託した門井商店とも通ずる部分である。
今回の「化学調味料などの添加物不使用はもちろんのこと、酵母エキスやたん白加水分解物不使用。塩は持ち込みで指定」という条件をクリアできても、美味しさを実現できなければ意味がない。使用できる原料が限られるなかで工夫を重ねて、ご納得いただける品質を完成することができた。

数々のご縁が重なって完成したラーメンスープ。いちご栽培で失敗しても諦めず、挑戦し続けた黒田氏が、「今後も”ご縁の麺”でつながっていくといいな」と笑顔で話されていた姿が印象的だった。

構想段階でもお話お伺いします!
ご相談・お見積りなど、
お気軽にご連絡ください。